3/21/2015

タナナ・チーフズ会議

久しぶりに投稿してみる・・・。

今週、タナナ・チーフズ会議(Tanana Chief's Conference)に参加した。もともと、内陸アラスカのアサバスカン・インディアンの代表者たちが集まって、ゴールドラッシュに湧く当時の白人社会の代表者に対して、彼らの伝統的な生活を守るための手段を講じるように要請したのが始まりである。1915年にその会合があり、今年は100回目の会議となった。https://www.tananachiefs.org/2015-tcc-annual-convention/

最近では、会議の様子がネット配信されていたり、会議専用のスマホのアプリがあったり、日本の田舎よりもはるかにデジタル化が進んでいるような印象を受ける。

今年の会議の個人的ハイライトは、キングサーモンの急激な減少に対する対策である。キングサーモンは、アサバスカン社会における重要な食料源である(ただし、高地で生活していた集団に関しては、他の魚類のほうが重要であり、低地に移動してからこの種を重要視するようになったという人類学者の議論がある)。 鮭の類いは、年によって遡上する量が異なるが、2010年あたりから遡上量がこれまでにないくらい減少してしまった。

原因としては、商業漁業における混獲(バイキャッチ)・大量捕獲、環境汚染などが挙げられているが、おそらく、複数の要因が重なりあっており、何かひとつの究極的な原因があるわけではなさそうである。そのなかで、商業漁業における混獲は規制を設けることで影響を最小限にすることができると考えられていることから、先住民の側は混獲に対する規制を設けることを州政府に対して働きかけている。しかし、思ったほどの成果があがっていないこともあり、人によっては商業漁業の会社が州政府に賄賂を渡しているのではないかと噂するものもいる(あくまで噂・・・)。

会議のなかの発言で、データ不足のせいでちゃんとした意志決定ができないから、自分たちで研究者を雇ったり、みずから調査を行うことで、州政府からのデータへの依存を断ち切るべきだという意見があった。人類学者の議論でたまに「近代科学の(唯物論的?)世界観」と「先住民の(神話的)世界観」が互いに相容れないものであるという主張を見かけるが、少なくとも、今のタナナ・チーフズ会議にはあまりあてはまらないものかもしれないと思った。

何にせよ、鮭の減少は日本にも関係があることでもあり、というか、アサバスカンの人たちは日本や中国の市場にむけた鮭の商業漁業が彼らの生存漁業に脅威を与えていると考えていることもあり、この問題については継続して書いていきたい。

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