9/15/2014

大きな鳥と小さな鳥

ある年長の友人と話していて、ツルとツバメの物語が出てきた。彼は、内陸アラスカのヌラト村の古老からツバメはツルの背中にのって渡りをすると聞いたらしい。また、その友人によれば、北西海岸では、ツルがハチドリを背中にのせてあげるのだという。そう言えば、カナダ・ユーコン準州にある村で調査をしている友人も以前、ハチドリと大きな鳥が一緒に渡りをするという物語を聞いたことがあると言っていた。アラスカのユーコン川下流域の村に伝わる物語では、小さな鳥が最初、ハクチョウの背中にのせてもらおうとするが、ハクチョウは裏切って、鳥を食べてしまう。それから、小さな鳥はツルの背中にのせてもらうようになったという。

クスコクイン川上流域に住む私の友人にも、類似した話を語る者がいる。ここでは、確か、大きな鳥は小さな鳥を翼の下に入れて運ぶということになっている。捕まえたツルの翼の下に鳥の糞がついていたから、きっとこの物語は本当のことだろうという。ツルは善良な鳥であるが、ハクチョウは性格が悪いとも言われている。以前、見つけた鳥類学の文献によれば、ハクチョウは縄張り意識が強く、同じ種同士で争う以外にも、見た目が似ているユキガンを追い払うこともあるという(Burgess and Stickney 1994)。ハクチョウは性格が悪いという動物観は、人々が他の鳥に対して攻撃するハクチョウを観察したことによっているのではないかとも思う。

つがいのナキハクチョウ(2013年6月8日、アラスカ州クスコクイン川上流域北支流にて撮影)
参考文献:
Burgess, Robert M. and Alice A. Stickney (1994) Interspecific Aggression by Tundra Swans toward Snow Geese on the Sagavanirktok River Delta, Alaska. Auk 111(1): 204-207.

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